2年前の11月
まだ2年前なんだなって、
もうだいぶむかしのことのようにときどき錯覚します。
実の妹が突然に病に倒れ、生死をさまよいました。
甥っ子は2歳。
心臓が止まったり、
もう二度と意識が戻らないかもしれない。
目を覚ましても、もう何も認識できなくなっているかもしれない。
医師はそんなことを言っていました。
自分は何もできず。
悲観しかできない状況で、
嘘だらけなのに、ひたすら前向きなことを、前向きな言葉を選んでいました。
そんな1か月。
結局なんだったのかと疑うほどに劇的に回復し、
元気に生活しています。
自分が短気を起こすこともあったり、
人間不信気味になったり、
厳しい言葉を投げてしまったり、
表向きばかりいい顔をするようになっていたり、
このところ、だいぶ自分の数少ないよかったところを置き去りにしていたのでは、
ふと思いました。
あのときは、せめて生きてさえいてくれたら、
そう思っていたのに、
人間って喉元過ぎればですぐ忘れるし、傲慢だなと。
自分が生きていることを許されている間は、
11月はまだ何度も来ます。
僕にとっては一生消えない記憶。
自分が迷走したり、何か大切なものを忘れたときに、
軌道修正をしてくれる。
11月はそんなきっかけの時期になっていくのかもしれません。